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別注モデルの真相〜デザインへのこだわり、雑貨のある暮らし、これからの展望|後編

この冬からスタートした連載企画「SUBU25(スブトゥーゴー)」の第2弾!


前回( 前編後編 )は、この連載企画を含むこれからの「5年間」について。またそもそも[SUBU]が歩んできたこれまでの「5年間」について、ブランドディレクターである府川俊彦さんに、お話をしていただきました。


それに続くこの第2弾では、府川さんが、公私ともにお世話になっている[bPr BEAMS]のディレクターである山口真吾さんを訪ねます。[SUBU]がこの世に登場して間もない頃から、その成長を共に見守ってきた山口さん。普段は、なかなか聞くことの出来ない話も、前編に引き続いて、府川さんがガシガシ切り込みます。それでは、早速どうぞ!



府川)僕もこの前、売り場に立たせてもらいましたけど、今年の別注モデルは、男女関係ないですもんね。


ただ、デザインを描き起こすのは、すごく難しかったんです・・・何となく、成金ぽいというか、いやらしくなってしまって。最初は、柄をリアルに毛羽立ってる感じで描いていたんですけど、いや〜これは、山口さんや[BEAMS]さんが求めているポップさじゃないよな、と思って描き直して、最終的にこのヒョウ柄に落ち着いたんです。2色使いのように見えるかもしれないんですけど、実は3色使いで、ちょっとかわいい感じにうまく落とし込めたなって感じています。


山口)たしかに、僕はデザインが出来ないので、ヒントだけを全部、渡した記憶があって。写真をいっぱい送りましたよね。でも、具体的に大きさとか、色のパントーンとかを指定したりは一切していなくて、ここはデザイナーさんの仕事だから、府川さんのセンスで考えてもらいたいなって。そこはある種、信頼してお任せしましたね。


なので、ヒョウ柄やゼブラ柄と、アイデアを出した以降は、俺の仕事終わった、って感じでした、笑。あとは、府川さん頑張って、みたいな感じでしたね。


一方、こっちのワントーンのモデルは、売り場に並べたときを想定して、柄物2色に対して、無地のトーンをどういう配色にするか、で選びました。なので、履きやすいとか、コーディネートしやすいとか、もちろんそうなんですけど、お店に並んだ時のビジュアルを結構、考えましたね。この5色が売り場に並んでいると、インパクトあるだろうなって想像しながら。




山口)その描く作業って、これだって決めて描きはじめてから、どれくらいかかるものなんですか?


府川)あ〜これだって決めてからは、トータルで1週間くらいですね。


僕は、イラストレーターを使って描くので、四角いパターンをつくって、繰り返すってこともできるんですね。ただ、今回のヒョウ柄やゼブラ柄はそうではなく、全部手で描きました。パターンを繰り返したりせずに、一足に使う生地分はすべて、手で描いています。


そこは、こだわりました。なので、厳密に言うと、すべて異なる柄で、微妙に違うんです。それは、今回ちょっとだけ勉強して、やっぱり自然が生み出す柄なので、全く同じ柄はない、と。そういう部分はリアルに、柄としてはポップに、と考えて、つくりました。


府川)あと、無地の別注モデルいいですよね。僕も好きです。


実は、定番のインラインの生地とは違ってて、今年のコンセプトコレクションと同じ作り方をしているんです。それをよりマットな仕上げに。普段は、1枚張りのナイロンなんですけど、これは、少し凹凸感があって、ツヤ消しをしているので、生地を2枚張りにしているんです。


なので、普通につくるよりは大変で、なかなか苦戦しました。でも、いい勉強をさせてもらいました。定番モデルの雰囲気とも、仕上がりは全然違いますからね。悔しいぐらいですよ・・・笑。メーカーで、デザインしている身としてはやっぱり、インラインが世界で一番いい、と思ってるので、笑。


別注をやる意味って、自分にないアイデアをいただいて、どれだけいいものをつくれるか、はもちろんですけど、自分たちでは絶対に発信できない売り場だったり、メディアだったりで、発信してもらえることだと思うんです。普段とは異なる「ファッション」という土壌で発信してもらえる、というのが、ブランドからすると一番、別注に取り組む理由かな、と。


山口)そうですね。それを、僕らのフィルターを通じて、発信していくことで、知名度とか、ブランド力が上がっていく、というのが、必要ですよね。ブランドを育てる、みたいな上から目線でなく、ともに切磋琢磨して、府川さんのブランドが大きくなっていって、僕らも売上という部分で共存しながら、スタンダードなものとして定着出来るといいですよね。もうそれこそ、バイヤー冥利に尽きますよね


誰もが知っているブランドとコラボレーションする憧れも、もちろんあるんですけど、誰も知らなかったブランドを、誰もが知っているブランドへと引き上げることの方がやっぱり、バイヤーとしての喜びは大きいですよね。ま、こうやって別注モデルのことを振り返っていくと、忘れたいことも思い出してしまいますね・・・結構、忘れたいことだらけですね、笑。



府川)ちょっとここで「雑貨」について話していいですか。


僕も明確に答えを持っている訳では無いんですけど、雑貨業の僕と、アパレル業の山口さんとで、「雑貨」に対する考え方の違いってあるのかな、と思って。


すごく簡単に言語化すると、僕たちは「〇〇しやすい」に執着してしまうんですよね。買いやすい、使いやすい、みたいな感じで、そういった機能性を根底で追い求めてしまう。でも、僕が[bPr BEAMS]の売り場を見ると、決して使いやすいだけではなく、「雑貨」のそこじゃない部分を評価して、並べているような気がするんです。


山口)そうですね。僕自身ももちろん、機能性だったりとかは、嫌いじゃないんですけど、僕がバイヤーとして提案できる強みは、すごく感覚的なもの。僕は、どちらかと言うと女性的な目線で、雑貨を見ているかもしれませんね。ツルッとしているより、マットな方が今っぽいとか、あんまり機能性を追求し過ぎないようには意識していますね。


お客さまの中では、固く考えすぎずに、楽に買い物したい方も大勢いらっしゃって、ここが便利で、あれが機能的で、と情報量が多くなると、重たいなって瞬間があると思うんです、だからもっと感覚的に、ビビビッと来て買う、みたいな瞬間を楽しんで欲しいですね。それが、自分の強みだとも思うので。


やっぱり、僕らはモノを開発したりはしていなくて、プロではないんです。でも、感覚的に[BEAMS]のお客さまが好きそうだな、って嗅ぎ分けて、選ばなきゃいけない。なので、どちらかというと感覚的に雑貨を見て評価しているかもしれません。そう考えると、お互いに視点が異なって、府川さんとは補い合いながら、雑貨を世の中に提案できるので、いいかもしれませんよね。



府川)ぶっちゃけ、山口さんはどれが一番お好きですか?


山口)別注の中でですか?


そういう意味では僕、自分の好みとお客さまの好みはまったく違うな、と思ってて、お客さまのために店頭に並べるモノと、自分がプライベートで買うモノって、全然違うんです。なので、そう聞かれると、この「黒」ですね。


定番モデルでも「黒」はあって、もっと艶があって、ロゴが白なんですね。でもそれとは違う良さが、この別注モデルにはある・・・あ、この「黒」履きたかったぁ〜って思えるんですよ。個人的には、すごくハマっていますね。これはロゴも黒にしてしまって、敢えて主張を抑えています。[SUBU]っぽく見えないけど[SUBU]だね、みたいな感じが、好きですね、僕は。


あとはやっぱり、ヒョウ柄ですかね・・・これすごく良いですよ。


いま、このヒョウ柄別注モデルを僕、ベランダに置かせてもらっているんですけど、ベランダに出て洗濯物を干した、その5分間だけヒョウ柄を履けちゃう感じが、個人的には好きですね。僕、似合わないから人前には履いていけないんだけども、その短い日常の一コマにヒョウ柄を履いて、高揚感を得られるってのは、すごく良い気がしますね。



府川)山口さんってこれまで、「買ったけど、これ失敗したな〜」みたいな経験って、結構ありますか?


山口)あ、もう全然あります、そんな経験ばかりです。


良いか悪いかはわからないですけど、やっぱり買い物してなんぼ、みたいな所は、僕らみたいな職業だと、ありますよね。たくさん買ってきましたし、たくさん失敗してきましたね。それに、僕の中で一生モノって、無いんですよ、その時々で変わってしまうし・・・なので、こういった形で、その時々の好みを落とし込める別注モデルは、自分には合っているかもしれませんね。結構好きな作業ですね。


僕もお仕事を通じて、いろいろなメーカーさんだったり、ものづくりをされている方に会いますけど、この[SUBU]は、府川さんがご自身で立ち上げて、一からすべてやってきてますよね。だから、やっぱり熱量が全然違いますね・・・自分の持ち物、という意識も強いですし。あとは、すごく素直ですね。


ある一定のブランドとか、商品って代々受け継がれてきているものが多くて、いまの担当者が、それまでの歴史を知らなかったりって、結構多いんですよ。だから、それと比較すると、一癖も二癖もあるなって感じはしますね。だから、僕も[SUBU]は好きですし、その歴史の一員になった気になれますね。


まぁ〜でもホントは、悪口もいっぱいありますけどね、笑。



府川)最後に、[bPr BEAMS]の展望についてお伺いできますか?


山口)[SUBU]を自分の目で見て、取り扱いを始めて、それがスタッフにも響いて、お客さまにも喜んでいただいて、どんどん売上が上がって、たくさんの人に知ってもらえる、という作業がやっぱり、一番高揚感のあった瞬間だったんですね。


僕ら[BEAMS]って、新しくモノをつくったり、売り出したりするのが、すごい得意なわけではないんだけども、新しいモノを見つけてきて、「これ面白いでしょ!?見たことないでしょ!?」と、お客さまに提案することは、出来ます。まさに、バイヤーというお仕事ですよね。子供心溢れる好奇心で、府川さんの[SUBU]を見つけて、それをお客さまにしっかり届けることが出来たのかな、と思いますね。


こういうことは、これからももっと増やしたいです。バイヤーとしては、もちろん楽しいことですし、[BEAMS]としてもお客さまに、次から次へと新しい提案が出てくると、思って欲しいですからね。なので、これから日々、無駄遣いしていきたいですね、笑。それが、僕の使命ですね。




 

普段はなかなかお話することの出来ない「別注モデル」がどのように、この世に誕生するのか、についてお話をしていただきました。またデザインへのこだわりやお互いの雑貨感についても。こうして[SUBU]を介して、会話が生まれて、アイデアを交換しあうことにこそ、未来へのヒントがあると思います。それでは次回もまた、お会いしましょう。この連載企画が、私たちの[SUBU]が、あなたの新しい一歩への後押しになることを、信じて。


 

連載企画[SUBU25]とは・・・2020年を皮切りにスタートした連載企画。

この世に[SUBU]が誕生して5年が経ったその節目の年に、これからの「5年間」を見据えていくために活動開始。これまでの「5年間」を振り返りながら、これからの「5年間」に、どう繋げていくか、をこの活動を通じて、見定めます。


その一方、「トゥーゴー」という読み方には、[SUBU]と一緒に出かける、という意味も。単純に[SUBU]を履いて街に出かける、というのもそう、こうして、お話をしたことのない方の元へ出向く、というのもそう。もっと言うと、新しいコトへ、一歩踏み出して、チャレンジする、という意味も。これからこの連載企画を通じて、[SUBU]がさらに、魅力的なブランドへと成長していくことを期待して、活動していきます。

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